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こんな感じ(自称「半農半活動」)で生息しています。
① 可能な限り自給自足(とりあえず家庭菜園と年収100万円程度の生活)
② ①以外の時間を、社会問題の解決に充てる(取り組む問題は何でもあり)
半農半X とBライフにインスパイアされました。

死なない以上は、子孫と環境に負の遺産を残さないように生きれればと考えています。
単身で気楽に生活、ピンピンコロリでフェードアウト!が理想です。
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読書『キミが大人になる頃に。 環境も人も豊かにする暮らしのかたち』 [読書]

キミが大人になる頃に。 環境も人も豊かにする暮らしのかたち

『キミが大人になる頃に。 環境も人も豊かにする暮らしのかたち』
発売日:  2010年09月
著者/編集:  石田秀輝, 古川柳蔵
出版社:  日刊工業新聞社 

【目次】
第1章 ライフスタイルに責任を持つ新しい時代
第2章 ライフスタイル・デザインという思考法
第3章 未来は具体で捉える
第4章 2030年で見てきたこと
第5章 暮らしのかたちの活かし方

【著者略歴】(刊行当時)
 石田秀輝
東北大学大学院環境科学研究科教授。博士(工学)。1953年生まれ。
(株)INAXを経て2004年より現職。ものつくりのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。
2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱。

古川柳蔵
東北大学大学院環境科学研究科准教授。博士(学術)。1972年生まれ
東京大学大学院工学系研究科修了後、民間シンクタンクを経て、2005年より現職。ライフスタイル・デザイン、ネイチャー・テクノロジー、環境イノベーション研究と環境リーダー養成に力を入れる。
2009年にNPO法人サステナブル・ソリューションズを設立。専門は環境イノベーション

昨年の10月、 NHKラジオ第2の文化講演会 「ライフスタイル変革のイノベーション 」を聞き、講演者の古川柳蔵氏の著書を探したところ、本書を発見!
しばらく「つんどく」状態だったのですが、ようやく読了した次第です。

以下、メモ感想等です。

第1章 ライフスタイルに責任を持つ新しい時代
「企業がライフスタイルに責任を持ち、新しいビジネスシステム構築に大きく舵を切らなければならない時代」
を認識することが必要

地球環境問題とは:旧来はリスクとなることがなかった事象(エネルギー・生物多様性・水・気候変動・人口・食料・資源等)をリスクにするほどの「人間活動」の際限のない拡大。その「停止・縮小」が問われているのが現代

「人間活動」:原点は「暮らしのかたち(個としての人の生き方の原理)」。その構成要素を「ライフスタイル」と定義

「停止・縮小」:最終手段は配給制だが、その前に「こころ豊かに生きるという人生の本質を担保しながら、人間活動の拡大を低環境負荷型に変えてゆかねばならないということ」(=「新しい暮らしのかたち」)を追求すべき。

「新しい暮らしのかたち」
構成要素は、
①地球のことを考えた暮らし方=循環型社会の創出
②人のことを考えた暮らし方=「生活価値の不可逆性」を肯定しつつ、精神欲をも煽る(テクノロジーの発達が大量生産・大量消費ではなく、エンターテイメントに向かった江戸時代に学ぶ)。

世界の全てが日本人と同レベルの生活をすれば地球が2.4個必要
一つの地球を前提として考えるバックキャスティング視点の必要性
「バックキャスティングで考え、その方向に向かってフォアキャスティングで進む」
企業の新しい役割は、このフォアキャスティング(新しいライフスタイルの創出)にある。

参考:リーダー層に求められるバックキャストの思考法

バックキャスト:未来を予測するうえで、目標となるような状態・状況を想定し、そこから現在に立ち戻って”やるべきこと”を考えるやり方。地球温暖化などの環境問題解決に役立つ手法として注目されている。バックキャスティングともいう。

フォアキャスト:現状分析や過去の統計、実績などのデータをもとに、未来を演繹的に予測するやり方。フォアキャスティングともいう。


第2章 ライフスタイル・デザインという思考法
地球1個分という厳しい環境制約下、企業はいかにして競争力を維持できるのか。
その第一歩が、低環境負荷で楽しく豊かな暮らしのかたちを描くこと。

本章執筆者の古川氏の「ライフスタイル変革のイノベーション」(講演録PDF)と併せてまとめてみました。

「暮らし方を変えることによって環境問題を解決に導く、そういう変革、イノベーションを起こすために何を考えるべきか」

戦前の暮らし:「planetary boundaries」 よりもはるかに厳しい制約のもとで、豊かな暮らしを見つけてきた。

planetary boundaries:地球が人間にとって安全な場所であるための境界点(ここを超えると元に戻れない)。
推奨はしないが、境界点を越えなければ自由に何をしてもいいという価値観が背景にある考え方

戦後の暮らし:制約の中の豊かさ、豊かさの多様性、豊かさを見つけるスキルも失われている。一方で環境負荷が増大 

90歳ヒアリングとその目的:戦前の暮らしについて、大人の目線で経験して、見てきた人へのヒアリング
「自然に生かされている、自然を活かす、循環、伝承、役割、共有、成長、これらがある制約の中で、暮らしをすごく豊かにしていた」
制約の中で豊かに暮らすための知恵、仕組みを過去から学び、未来の日本を考えていくために応用する。


①戦前の暮らし:ものすごく限られた資源制約の中、心豊かになるように方法を考えて暮らしていた。
②戦後の暮らし:利便性を追求して制約が取り除かれたことによって、一緒に心の豊かさもぽろぽろ落ちてしまった。
③将来の暮らし:未来は、地球環境問題という制約を受ける。
その中で、いかに心豊かに暮らすかを考えなければいけない。今までとは異なる未来の制約に基づいて、できるだけ環境負荷を与えない技術を使いながら、未来を作っていく。

部分最適化:エアコンだったらエアコン、自動車だったら自動車がエコになるような技術開発(イノベーション)。「地球上に中国、インドと次々と人口が増え、経済発展を目指す国が台頭してきた状況においては、いよいよ通用しないことが明らか

全体最適化:環境制約が厳しくなってくると、家庭内で同じエネルギーを使っている機器同士(エアコンと冷蔵庫)で、どちらを捨てようか、残そうかと考えるときがくる。最終的にはライフスタイルが競合
全体最適化のイノベーションが起こる。

全体最適化のイノベーション:バックキャスティングによるライフスタイルデザインという方法
①環境制約条件を考慮
②将来の社会状況をディスカッション
③自分(たち)が将来にいる気になって、バックキャスティング
④このままいくと発生するだろう問題の発見
⑤問題解決、壁を越える方法を探求
⑥心豊かなライフスタイルを描く。
これを繰り返す。

押し付けのライフスタイルにならないために以下の二者の役割が重要
①自治体:最適なライフスタイルは各地の自然環境に依存するがゆえに、ライフスタイル変革の重要な鍵を握る。
②企業:今の世界は、企業のものづくりやサービスが暮らしのかたちを決定している(例:携帯電話や冷蔵庫の野菜室)。
「制約を豊かさに変える」テクノロジーは、大企業の知恵を使って突破。技術だけではなく、ビジネスとしてお金を回し、普及させる。

第3章以降
電通グランド・デザイン・ラボラトリーによる「心豊かな新しい価値観」、バックキャスティングを用いた「新しい暮らしのかたち」の具体例及び製品開発プロセスを紹介

「心豊かな新しい価値観」:インデックスの量(例えば情報)ではなく、一つの物事への探求・愛着に目を向けるようになれば、物が減っても幸せは増大することがあり得るのではないか。
すぐに結果を得ようとするのではなく、コスト(時間と労力)をかけることで、大きなゲインを得るという価値観(例:炊飯器ではなく土鍋で米を炊く)
新しいものを求めるのではなく、江戸や明治の暮らしのかたちの本質的な価値を現代にアレンジする等のオリジナリティを重視

「新しい暮らしのかたち」の製品開発プロセス:「これまで主流だった差別化のための調査・分析手法だけでなく、生活価値を新しく創り出す構想型の方法論が必要」だとして、現行製品が代行しているコト・モノは何か、その重要性はどの程度か、未来においてその重要性はどう変化するのかを分析し(環境制約も考慮)、
新しい暮らしのかたちはこうあるべきだと構想し、構想実現までのシナリオを計画し、逐次商品化する(累積的実行)。


私の感想

19世紀以降の潮流は
①資本主義=市場経済+拡大・成長
②社会主義=計画経済+拡大・成長
といういずれも「拡大・成長」路線
※世界システム論では、上記の①②ともに資本主義的世界=経済を構成していると分析

日本のみならず多くの国では
拡大・成長>環境制約
という政策が主流
です。
原発が最たる例ですが、ツケ(原発なら放射能問題)は「弱者」(地元住民や原発労働者、子孫や他国等)に押し付けるというもの

COP等で、地球環境問題を論議していますが、
せいぜい、環境制約(地球1個分)と先進国の拡大・成長を両立するために、力の弱い国の資源やエネルギー消費を抑制するぐらいしか術がありません。
現実は、新興国や途上国が力をつけてきたがゆえに、抑制することが出来ず、環境劣化は止まりません。

資本主義は、その勃興期にあっては、利子の禁止等を撤廃、商業の自由も実現
近年においては、通貨売買の自由化、資本の国際移動の自由化等、制約から解かれる方向へと変化し、国家や国際機関でもタガをはめることが、より困難になっています。
とくに新自由主義では、目先の利益のために、経済の不安定化・崩壊、地球環境の破壊も意に介していません。

これに対し、本書では、ライフスタイルの変革による解決を説きます。
これが資本主義のエートスから脱却するということであるならば、資本主義に環境制約というタガをはめるというよりも、資本主義から別のシステムへの移行を意するように思われます。

上記①②と比較すると
③市場経済+環境制約(地球1個分で賄う=持続可能な社会)+ローカルコミュニティの再構築
というものなのかもしれません。

資本主義について
・資本主義=欲望の際限ない拡大と富の無限の蓄積である。※私見
・資本主義のエートス(倫理的生活様式)とは、拡大・成長が豊かさをもたらすという価値観が基調にある。※私見
・「中心(日米等)」と「周辺(途上国等)」から構成。フロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステム ※『資本主義の終焉と歴史の危機』(2014年 集英社新書 水野 和夫)


参考:WEBで読める古川氏の研究紹介
90歳が変える未来のテクノロジー
心豊かなライフスタイルデザインの創出 豊かさは制約の裏返し

関連記事
『資本主義の終焉と歴史の危機』読書会報告
アジェンダ第50号(2015年秋号)


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ちょうそう

  私個人の感覚では、もう環境について考える時期はすでに過ぎていて、実行する時期になっていると思いますが、現状は先進国と発展途上国の対立もあり、なかなか進展していませんね。私個人も出来る範囲で質素に生活していますが、多分持続可能な社会にするには不十分なんだろうなと思っています。

  人口増加も環境問題にとっては最重要と言ってもいい問題と思っています。家族というプライベートな問題でもあり、保守的なキリスト教徒の方たちは神の思し召しと考えるでしょうし、これも難しいですね。国連人口基金なる機関があるみたいですが、今回書き込むにあたり、ネットで調べて初めて知りました。国連はこの機関にもっと予算を配分して、この大変難しい問題に対処した方がいいのではないかと思います。

  hnhkさんの気になった古川先生と共著者の、石田先生には古巣のINAXに対して温水洗浄便座なんて便利過ぎる物は早く生産を止めろ!と苦言を呈して欲しいですね。クールジャパンの筆頭にあげられる物ではありますが。
  「不都合な真実」という映画に出ていたゴア元副大統領の自宅が豪邸で、電気やガスを使いまくりという「真実」を思い出してしまいました。
  まあ、私の家も、私個人は洗浄機能を使っていないですが、「不都合な」温泉洗浄便座なんですけどね、汗。
by ちょうそう (2016-02-07 15:38) 

hnhk

ちょうそう さん

国連のHPによると
「•2012年の国連通常予算は約25億7600万ドル、日本円で約2,318億円(1ドル=90円換算)です。この予算で、ニューヨーク、ジュネーブ、ナイロビ、ウィーンをはじめとする世界各地の国連事務所の運営をまかないます。この金額は、東京都世田谷区の平成25年度一般会計当初予算額である約2,423億円とほぼ同じです。」

「国連のさまざまな基金や事務所、計画-たとえば、国連児童基金(UNICEF)や国連難民高等弁務官(UNHCR)、国連開発計画(UNDP)-はそれぞれ個別の予算を持っている。その資金の大部分は政府による任意の拠出金であるが、一部は個人や機関からの寄付金である。国連の専門機関――国連教育科学文化機関(ユネスコ)や国際労働機関(ILO)――もまた、個別の予算を持ち、各国の任意の拠出金によって補足される。」http://www.unic.or.jp/
とのことです。

ということは、国連人口基金も任意の拠出に頼っているのでしょうか?
それだと、予算の増額はなかなか厳しそうですね。
ここは、ユニ●のY氏あたりに1兆円ほど寄付してもらうのがよいかもしれません。

「温水洗浄便座」について、石田氏に聞いてみたら面白いかもしれませんね。
わたしは小心者なので、誰か聞いてくれないでしょうか。

ゴア氏の「不都合な真実」は、温暖化を問題にして、CO2を出さないとされる原発を推進するという隠された意図があるのでは、という疑惑が出ていたのを思い出しました。
by hnhk (2016-02-08 20:21) 

majyo

ちょっと記事には関係ないのですが
ツイツターでご紹介していた
「歩兵の本領」借りてきました。
浅田次郎さんは好きなので楽しみです
by majyo (2016-02-11 20:47) 

hnhk

majyo さん

浅田氏が会長を務める日本ペンクラブでは、数々の平和に関する声明を出しています。
同氏が、その先頭に立っておられますが、陸自出身者だけに重い内容だと思います。

『歩兵の本領』を読むと、まさに酸いも甘いもかみ分けた同氏の思想を垣間見ることが出来るように思います!
by hnhk (2016-02-12 20:53) 

山内 崇嗣

面白く読ませて頂きました。
炊飯器でなく土鍋でご飯を炊くという手間に価値を覚えるというのは高度経済成長期に言ったら変人扱いされる(?)と思ってしまいますが、不思議と現時点では違和感を感じなくなってきてるような気がします。
私の感想を読ませていただいたのですが、「半市場経済」の著者である内山節さんも同じようなことを言っていますね。資本主義から別のシステムへ。であればそれは何か?
僕はそれは定義しようがないと考えます。故に次のシステムが出てこないのではないか?自分は3つの経済という概念を著しましたが、資本主義経済、自給(お裾分け)経済、諦める経済。資本主義経済一辺倒によりすっかり人々の我慢は無くなり、消費者として振る舞うのが板についてしまいました。
専門分野に特化していくことはそのほかの能力を退化させることに繋がると考えます。だから食べ物をどのように作ればよいか、家の修繕をどうすれば良いか、はたまた自分のしたウンコをどう処理すれば良いか。
どうやら資本主義は自立して生きていくことに主眼を置くと人間を退化させているようです。時計の時間に縛られ、イライラし、疲労ばかり募る。
本来時間は人間1人1人で違います。9時から17時の労働はみなが出来るわけではない。とにかくこれを書いている間も前を通る人の顔が疲れているように見えるのは気のせいでしょうか。
またブログ拝見します!
by 山内 崇嗣 (2016-02-15 14:56) 

hnhk


山内 崇嗣 さん

「土鍋」に代表される現象ですが、高度経済成長を経て、不便な状態→快適→不便を楽しむという弁証法的発展を遂げているのかもしれません。

「能力を退化させることにつながる」というのは同感です。
人間としての能力を金儲けだけに特化させ、あとは徹底的に退化させる。
金で何でも買える予定調和の時代が崩壊しつつあるのに、未だ勘違いしている人が多いと思います。
そして、これに気づいた自立心旺盛な人達が、「不便」を楽しむようになったのでしょうね。

ところで、山内さんの提唱する3つの経済は、本書の著者たちと通底するものを感じます。
お忙しいでしょうが、山内さんが著者たちにコンタクトを取ってみてもよいかもしれません。
何か素晴らしい「化学反応」が起きそうな気がします!

by hnhk (2016-02-15 20:22) 

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