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こんな感じ(自称「半農半活動」)で生息しています。
① 可能な限り自給自足(とりあえず家庭菜園と年収100万円程度の生活)
② ①以外の時間を、社会問題の解決に充てる(取り組む問題は何でもあり)
半農半X とBライフにインスパイアされました。

死なない以上は、子孫と環境に負の遺産を残さないように生きれればと考えています。
単身で気楽に生活、ピンピンコロリでフェードアウト!が理想です。
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読書『日本礼賛ブームのなぞ』 [読書]

日本礼賛ブームのなぞ『日本礼賛ブームのなぞ 週刊東洋経済eビジネス新書No.100』

編 集:週刊東洋経済編集部
発売日:2015年02月28日
出版社:東洋経済新報社

※以下、青斜体字は引用箇所 

書籍説明より
「日本礼賛本」がベストセラーになり、テレビでは外国人が日本を褒め称える番組が数多く放送されている。
ネットの世界では「中国人が日本の美点を紹介した」情報が大人気。
まるで日本礼賛ブームといえる状況だ。
だが、ここはクールに日本の実力と立ち位置を再点検したい。
クールジャパンの実態、「ニッポンすごいぞ」商法の背景など日本礼賛ブームのなぞに迫るほか、トンデモ本ではない「いま読むべき日本論」の名著を紹介。

●●目次●●
世界が見たNIPPON

いま読むべき日本論30冊
ベストセラーにご用心。まず俗論を疑え
野口悠紀雄vs.御厨貴「高度成長の幻想を暴く」
アジアとの一体化こそ活路
お手軽観光立国に喝!
クールジャパンなんて誰も知らない
愛国本読者の正体
自己過信では日本が沈む
盲目のスーダン人博士から辛口エール「型にはまるな日本人」

以下は目次中の二本の記事についてのメモです。

世界が見たNIPPOM
「東京五輪招致の「お・も・て・な・し」プレゼンあたりだろうか。日本礼賛の書籍・テレビ番組が妙に多い。観光立国や和食・サブカルの海外展開をあおる議論も盛んだ。」

「経済の「量」で圧倒される日本は、1人当たりの「質」で勝負するしかない。だが、賃金では米国
やドイツとの差を埋められず、生活の豊かさを実感しにくい。そんな閉塞感が嫌韓・嫌中ムードを生み出すと同時に、日本の現状や過去を礼賛する心理につながっているのではないか。」

「それは一時の「癒し」としてはいい。心配なのは、それを真に受けて現実が見えなくなることだ。NHK
放送文化研究所の調べでは「日本人は他国民と比べて、極めて優れた資質を持っている」と考える人の割合が、13年には67.5%に達した」

バブルが崩壊したとはいえ、まだまだ経済力のあった戦後50年の1995年
自画自賛しなくとも他国から褒められ、米国から経済的に脅威とみなされることに優越感に浸る、そんな人が多くいたような印象があります。

その経済力に裏打ちされた「自信」を背景に、道徳的にも高みを目指そうとする志向性があったように思えます。
戦後補償に対する一定の世論の支持があったのは、その現われだと言えるでしょう。
戦後70年の今日、GDPでは中国の半分程度となり
※2013年のIMF発表によるGDP世界シェアは中国が13%であるのに対し日本は7%
今度は低下する経済力を背景に、自己防衛の裏返しのような日本礼賛・嫌中韓ブーム

つまり、他国が褒めてくれることも少ないので自分で礼賛する他なく、ライバルを攻撃することでプライドを保持しようと一所懸命になっているように見えます。
痛いことに、根拠の乏しい自画自賛は増加傾向にあるようで
「日本人の意識・40年の軌跡(2)」によれば
「日本人はすぐれた素質をもっている」、「日本は一流国だ」と考える人が前回に続き増え、日本や日本人に対して自信をもつ人は、過去最高だった83年の水準に近くなった。
とのこと。
ナチスや大日本帝国の例からも分かるように、たいがい民族排外主義が強まるのは不景気の時
その時々の社会・経済情勢に左右されることのない普遍的な性質を持つのが思想というものですが、今の民族排外主義(日本礼賛・嫌中韓傾向も含めて)は思想というよりは、たんに状況に流されているだけと思えます。

話は変わって、私のパート先(大阪の某ホテル客室清掃)
外国人労働者も多いのですが、一方で外国人宿泊客(ほとんがアジア系)も多いです。
また、心斎橋や道頓堀近辺を歩くと、外国人観光客を多く見かけます(ここも大半がアジア系)。
2014年に日本を訪れた外国人観光客数は10,880,604人
うちアジアは9,050,505人
実に83%

国籍/目的別 訪日外客数(2004年~2014年)

このデータを見ると、世界で日本が人気というよりは、かつて日本人が金にあかして海外に行き免税品を買い漁った状況が主客を逆にして展開されている、というのが実情なのではないでしょうか。

年配の方とアジア系観光客について話をしましたが、「そう言えば、海外に行くとみんなジョニ黒を買いだめしたなあ。同じやなあ」とのこと。
この方の直感は、けっこう当たっていると私は見ています。
観光客の増加や、日本のアニメ・ゲーム等に代表される「クールジャパン」等の支持者も、実際のところはアジア系の人々が過半
なのに、礼賛本や番組には欧米系の人々が多く登場している感があります。
私なんかは、欧米コンプレックス丸出しのこの手の情報には食傷気味

野口悠紀雄vs.御厨貴「高度成長の幻想を暴く」
野口氏「日本の高度成長は世界に誇りうる成功体験だと思いますが、高度成長できた理由は簡単で、それはライバルになったはずの中国が国を閉ざして、農業国から脱却しようとしなかったからです。」

御厨氏「世界の中で日本がどういう位置づけになっているのか、70年前の戦争をどう考えるかという発送が、海外で働いている日本人にあまりに乏しい。心の鎖国が続いている印象があります。」

御厨氏「歴史教育は画期的に変えないといけません。歴史的事実を年代順に教えるだけではダメで、現代の問題からさかのぼって過去の事件の意味を問いかけるような手法で歴史感覚を教え込むなど、工夫が必要です。」

野口氏「悲惨な犠牲を払って得た教訓が引き継がれていかないということですね。一方で、とっくに無効となっている高度成長の経済モデルにまだ幻想を抱く人が圧倒的に多い。残念ながら、それが日本の現状です。」

高度成長について:
①経済学者の水野和夫氏によると「第二次世界大戦以降の高金利(資本主義の黄金時代)は、戦争によるインフラ破壊(供給力の大幅減)と復員兵士等による需要の大幅増がもたらしたにすぎない。」
②上記の中国の状況
③冷戦の最前線が朝鮮半島であるがゆえに、後方基地たる日本は「軽軍備・経済重視」路線を採用することができた。
④ソ連・モンゴル・中国・北ベトナム・北朝鮮・ミャンマー・ナサコム体制のインドネシア等社会主義・もしくは新社会主義国が席巻するアジアにおいて、反共の最大拠点である日本を米国が経済的に優遇した。
こうした情勢が高度成長を可能にしたのではないでしょうか。

→①の効果は60年代まで
→②に関しては近年の中国の経済成長から明白
→③④に関しては
ベトナム戦争敗北が決定付けた米国の凋落、その後の冷戦の終結
朝鮮戦争・ベトナム戦争に見られた戦争特需が、湾岸戦争では再現されず(一兆円超を戦争に供出したのに果実なし。ドイツも同様で、この頃からドイツは戦争参加に舵を切る)。
加えて
日本の中間層と同レベルの購買力を持つ新興国富裕層・中間層の激増による食料・原材料・燃料等の高騰
新興国のキャッチアップにより輸出産品における販売競争の激化
もあって、高度成長路線はとっくに「無効」

「世界の中で日本がどういう位置づけになっているのか、70年前の戦争をどう考えるか」:
旧西ドイツは、連合国による処罰(ニュルンベルク裁判)だけでなく自ら戦争犯罪を裁き、戦後補償を実施しない限り国際的に認知されず海外での経済活動も困難という状況がありました。
参考:顔のないヒトラーたち
一方、日本においては、国内的にはGHQによる旧陸軍への戦争犯罪の押し付け、国外においては米国が戦後補償等を巡って反共国同士(例えば日韓間)が反目しないように調整していました。
この状況もまた、冷戦終結や反共政権の民主化(例:韓国)、経済成長による国際的発言力の増大(例:中国・韓国)等によって無効となりました。
しかし、高度成長と同様、自らの立ち位置についても思考停止かつ内向きになっている場合が多々見られます。

本書の「自己過信では日本が沈む」で、中国・韓国に合計10年住んだという在ドバイ総領事・の道上尚史氏は
「愛国という「骨」と、開かれた国際性という「翼」を併せ持つ人が両国(中国・韓国)のエリート層になんと多いことか」
と記しています。

両国のエリートは内と外のバランスを量る器量を併せ持っているようですが、日本の場合はどうでしょうか?
過去の栄光(高度成長)に依存するあまり経済情勢の変化に対応せず、他国からの見られ方にも独りよがりの解釈(日本礼賛)に酔いしれている場合ではないと思いますが、いかがでしょうか(・_・?)

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U3

大半がお馬鹿ですが、日本人そう捨てたもんじゃありません。特に若い人達に期待したいですね。もう頭が固くなったお年寄り(自分も含む)は表舞台から去って頂いて若い人達に舵取りを任せるべきです。
by U3 (2015-11-15 12:31) 

ちょうそう

  確かに最近は同じような日本礼賛番組が氾濫しているように見えますね。まあ、これに限らず日本のテレビは他局で視聴率の高い番組が発生すると類似番組を相次いで作成する傾向にあるとも思いますが。
 日本人は戦時中やバブルなど調子のよい時は驕り高ぶり、戦後やバブル崩壊後は自信喪失するなど、自己評価の落差が激しい印象があります。
  私も思考停止してしまっていて、外国人からのお褒めの言葉は素直に嬉しいと感じてしまいます、私もアニメや漫画が好きということもありまして。それでも驕り高ぶることのないように自制したいと思います、汗。
  
 
by ちょうそう (2015-11-15 13:39) 

majyo

一番ヒドイと思うこの時期に
日本礼賛とは皮肉な現象ですね
しかし、これは裏を返せば失われたものへの
回帰現象でしょう
もちろんすぐれたものもあります。美しい日本の自然もありますが、
何か意図的にも感じます。
誇るべきは国の指針ではないでしょうか?
しかし、そうなってはいないと感じています

by majyo (2015-11-15 18:52) 

hnhk

U3 さん

若い人達が活躍しやすいように、出来るだけ負の遺産を取り除く。
これが、アラフォーたる私の役割かなと思う今日この頃です(^▽^)/
by hnhk (2015-11-16 09:19) 

hnhk

ちょうそう さん

バブル崩壊後にいったんは自信を喪失したのですが、プロジェクトXが放映された辺りから、日本礼賛が目立つようになった気がします。

自画自賛ならまだ良いのですが、中国や韓国等の他国・他民族を攻撃しだすと赤信号です。

かつて、米ソがどちらが一番かを競って攻撃しあった泥仕合のようにならないよう、自制が大事ですね!
by hnhk (2015-11-16 09:32) 

hnhk

majyo さん

わたしも日本には優れたものがいくつもあると感じています。
例えば、豊かな農作物をもたらす自然環境などは最たるものです。
中世ヨーロッパなどは、穀物の種を一粒蒔いても実りが2粒未満という生産性だったのに対し、同時期日本は十倍以上の収穫量がありました。
故井上ひさし氏が、日本の稲作の高い生産性を指摘していたことも思い出されます。

ただ、これらの美点は日本という地域に関することであって、国家としての「日本」とは別次元だということです。

昨今の日本礼賛は、地域としての日本=日本国という、国家主義に収斂する傾向があって、その点も気がかりな所です。
by hnhk (2015-11-16 09:39) 

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